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なぜランティスが好きなのか

ランティスとの出会い
ラ ンティス(クーペ)との出会いは、レースゲーム:グランツーリスモです。
実は当時、マツダファンながらランティスという車種自体ををまったく知らず
(その割にアンフィニ・MS-6とかは知ってたという(笑))、
ゲーム中の購入画面(しかもGT1だと新車!)で一目惚れ。
調べれば背の低いファミリアサイズでV6 2L、実用的な5ドアハッチバック、
そして何より流麗で個性的なフォルム…
調べるほどにどんどん好きになり、いつかはランティスに乗りたい!と
中古車検索サイトを眺めるようになりました。
(そして売り物の少なさにまた驚嘆するのですが…)

そして社会人デビューを果たし、晴れて初の自分の車としてランティスを購入しました。
タイプRのMTでABS付き、総走行距離68000kmのシルバーストーンメタリック色。
本当は初期のイメージカラーであるスパークルグリーンメタリックの個体を探していたのですが…
まぁ全塗装する機会があればということで(笑)

蛇足ですが、GTシリーズの開発者にランティス好き(オーナー?)でもいらっしゃるんでしょうか…?
でなければ、こんな希少(しかもスポーティー止まりの性能)な車をシリーズ(3以外)を通して
出してくれるとは思えないので(笑)

ランティスの魅力
概要
ランティスの一 番 の魅力は、日常から非日常 までシームレスに楽しめる、
という ところだと思っています。
ルーフの低さから乗り降りには若干の苦労を要するものの、
乗り込んでしまえば広々とした室内、
大物も飲み込む大きなハッチと必要充分以上のラゲッジスペース…
実用面はコンポーネントを共有するファミリアと同等(か若干劣る)レベル
と言っても過言ではないでしょう。
そして便利に使えながらも、買い物さえ楽しくするハンドリングとエンジンフィーリング。
遠出をすればその魅力はリニアに増していきます。

毎日、買い物ドライブも楽しめる、というのは、マツダ車に共通する美点だと思います。

ランティスの魅力
エクステリア
近年 稀に見る、ちょっと長めのフロントノー ズ。
エンジンがかなり前方まで迫っている(パワートレインの項参照)ことからも
エンジンルームパッケージングからの必然性があったデザインだと思われますが、
これがエクステリアにランティスらしさをもたらしており、
シルエットをフロントからリアまで連続的につながる美しいものとしています。

そして、対比するように短いリアエンド。
リアタイアハウス直後から切りあがるようなリアバンパーのデザインは、
コンパクトさの強調とともに軽快さを感じさせます。
…実際にはあまり軽快な走りではありませんけど…(笑)

個性 的なフロントマスクは日産・NXクーペを連想させますが…好みが分かれるでしょう(笑)
おそらくこの小さい目は、当時のマツダデザインの流れを汲んでいるものと思われます。
というのも、ユーノス・ロードスター、RX-7(FC、FD)、ユーノス・500等、
どれもフロントのライトを小さく(もしくはリトラクティブ化)し、でこっぱちとも言えるデザインを
共通のテイストにしているように見えるからです。
ちなみにこのヘッドライト、通常は樹脂製であろうところがガラス製になっています。
あまりに容積が小さいため放熱性能が確保できず樹脂が溶けてしまう、
というのが理由だそうです。

ランティスの魅力
インテリア
シンプルで色気に欠ける、 マツダ車らしいインテリアデザイン です。
ただ、若干バブリーなことにソフト材の使用は比較的多く、
その面のみで見れば現行MPVよりも質感は高いかもしれません(笑)

他に、先に欠点を挙げてしまうと、ルーフが低いため多少乗降性に難があること、
どこにもドリンクホルダーがないこと(これは本当に不便!)、
後方視界が悪いこと、でしょうか。

美点はこの背の低さで充分に余裕のある室内パッケージングを実現していることで、
運転席に関しては、日産・ティーダ以上に頭上高の余裕が確保されています。
そして運転席のシートリフトの自由度の高さ(座面の角度まで調整可能)、
余裕がありながらもしっかり体を支えてくれるシートバック(その分車中泊はきついかも)、
低めのスカットルによる前方視界の良さなど、ドライブを楽に楽しめる設計となっています。
マツダ伝統の、左足(膝あたり)で体を支えられるセンターコンソールもいい感じです。
他にも、頭上高以外は及第点をあげられるリアシート(足下スペースは意外と充分)、
ふた付きで結構収納力のあるフロントドアポケットが気に入っています。

ランティスの魅力
パワートレイン
何はとも あれ、一番の特徴であるV6 2L(KF)エンジン。
多気筒・小排気量エンジンらしく、非常になめらかでNVH性能も高いと思います。
以前乗っていたファミリア(BF)のI4 1.5Lエンジン(B5)は高回転になると
「うぉー!頑張ってます!!!」という感じの太く荒々しいサウンドで、
「む、無理しないで…!」と声をかけたくなるような感じでしたが、
KFはどこまでもスマートで余裕を感じられる音と振動です。
ティーダのHR15DEエンジンと比較しても、とくに高回転で静かなのは
さすが6気筒というところでしょうか。
アイドリングの振動はちょっと目立ちますが…

2000rpm以下では非常に静かで、(個人的好みな)堪能できるサウンドを発するのは
2500rpmを超えたあたりからです。
現在はまるまる純正の排気系ですが、エンジンルームからの軽快でスムーズな
「ルルルルル…」(変な表現ですが、こんな音なんです)という澄んだ高音と、
排気系のジェントルな低音が組み合わされ、回転数に従い繊細さが太さになっていく、
スマートだけど存在感のあるサウンドが気に入っています。
ただ…ロードノイズが大きく、いまいちエンジンサウンドのみを楽しめない部分もありますが…
このロードノイズさえなければ!と思うことが多々あります(“新車情報”で某氏も指摘なさっていました)

4500rpm付近と5300rpm付近で、くっ、とわずかなトルクの段付きを感じるのは
恐らくVRIS(可変共鳴過給システム)の仕業だと思いますが、それ以外は回すほどに加速感が増す、
自然なパワーフィールとなっています。
極低回転域トルクに欠けるため発進には気を遣いますが(友人が乗ると大抵エンストします)、
一度発進してしまえば2Lらしいパワーを発揮します。
ただ、その極低回転域トルクを補うためかフライホイールがかなり重いようで、
アクセル操作に対する応答性や回転の落ち方などに軽快感を欠いているのは気になるところです。

そして、エクステリアの項でも触れましたが、とくに前バンク3気筒がサスペンションタワーに対して
大きく前方に配置されています。
エンジンをV6のみとしてシャシー設計を行えばこのような配置にはならなかったのでしょうが、
そこはI4のみのファミリアとコンポーネントを共有する車、無理矢理押し込んだようになっています。
これがいまいち重たいハンドリングに響いているようです(足回り・ハンドリングの項参照)

燃費は田舎の市街地(参考にならない…)で11.0〜11.5km/L近辺です。
(カタログ燃費は、10・15モードで11.4km/L、60km/h定常走行はあまりにあり得なくて爆笑の19.2km/L)
MTということもありますが、まぁ実用的な燃費性能だと思います。
逆に高速走行ではあまり伸びがなく、13.0km/Lを超える程度です(純粋な高速燃費ではありませんが)
これは高めのギア比により、市街地では積極的なギアシフトによって燃費最適ゾーンを多用でき、
一方で5速で走り続ける高速域では必要以上にエンジンを回さざるを得ないからだと考えられます。
車高が低いので空力的には有利だと思うんですけど…

ランティスの魅力
足回り・ハンドリング
エンジンルームレイアウトが高さ方向でなく奥行き方向にスペースを取っているため、
重心が低く、操縦安定性と乗り心地に有利に働いているようです。
購入時すでにローダウンサスペンションだったこともあってか結構かための乗り心地ですが、
片足で段差を乗り越えても揺さぶられる不快な感じは薄く、収束が早い足回りと言えるでしょう。
ただ、最新の優秀な車の、角が取れつつもしっかりした足回りと比べてしまうと、
やはり数世代前の車です。
(最近の車でも、かたいだけで、高い重心がもろに横揺れに現れるものが結構多いですけど…)

ハンドリングに関しては、かための足回りも相まって操作に確実・忠実に呼応してくれます。
切り始めから比較的素直に、切り込み量に比例するようなステアリングフィールはなかなかのものです。
ちょっと厳しいかな?という場面でもきっちり回ってくれて、安心感があります。
ただ、エンジンルームの写真のとおり重量物のエンジンがかなり前方にせり出しているためか、
旋回重心が非常に前寄りで、反応の俊敏さに劣り、軽快さに欠けます。
なので、重めのステアリングも相まって峠のタイトなカーブでは若干疲れますが、
中高速のワインディングでは非常に気持ちよく駆け抜けられます。

まとめ
まずは、やっぱり希少である ことが何よりのお気に入りポイント かもしれません(笑)
この辺は希少車乗りに共通する感情だと思います。

軽快ではないもののシルキーなV6エンジン+軽快ではないものの剛性感のあるハンドリング…と見ると、
グランドツーリングとしての性格が強いように思います。
スペシャルティーカーかと思えば便利に使え、ユーティリティーカーかと思えば結構走る。
中途半端で、でもどこをとってもそれなりに評価できるところが、ランティスの最大の魅力だと思っています。